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mardi 25 janvier 2011

日経社説 電気自動車の国際標準を狙うEU(3/5)

 低炭素社会の輸送手段として期待される電気自動車について、技術の国際標準を獲得しようとする欧州連合(EU)の戦略的な動きが目立ってきた。新たな規格づくりで、日米欧や中国など主要国の間で主導権争いが高まるのは間違いない。

 欧州委員会がまとめた経済成長戦略「欧州2020」は、EU域内の研究開発投資を、2020年までに国内総生産(GDP)の3%とする目標を掲げた。とりわけ省エネルギー・環境の分野を重視し、域内の企業の技術革新を政策的に後押しする方向を明確にしている。

 環境分野でのEUの政策で日本が注目すべき点は、電気自動車の技術の標準化である。電池、充電器、送配電の設備など製品分野が広く、これらの工業規格や安全基準がどう決まるかが、企業の将来の競争力を大きく左右する可能性があるからだ。

 電気自動車は、道路沿いの充電スタンドや自分の住宅で充電し、車体の中の電池に電気を蓄える。ひとたび燃料を入れれば、独立して走ることができる現在のガソリン車やハイブリッド車と違い、頻繁に送配電網と接続しなければならない。

 このため電気自動車に関連する工業規格づくりは、電力のインフラ全体のあり方を考えながら進める必要がある。政府の関与や企業間の連携によるシステム全体の体制づくりが欠かせない。

  例えば充電プラグの形が日本と欧州で異なれば、日本仕様の電気自動車はそのままでは欧州に輸出できない。日本が採用する規格が、そのまま国際標準となる 方が有利であるのは明らかだ。今のところ日米欧の企業の仕様はばらばらだが、欧州委員会の主導でEU域内の企業がひとつにまとまれば、国際的な影響力は高 まるだろう。

 EUは経済統合を通して、工業規格や安全基準を統一する経験を積んできた。域内で蓄積したノウハウを対外的な交渉にもいかし、国際標準化機構(ISO)などの国際機関で大きな発言力を握っている。

 日本企業はハイブリッド技術で米欧に先んじたが、電気自動車は実用化の途上にある。企業間の優劣の差はまだ明確ではない。国内でも、東京電力の主導で、急速充電の規格統一を目指す協議会を設立する動きが出始めたばかりだ。

 電気自動車が主力となる時代がいつ来るかは分からない。だが本格的な実用化の前の段階から、国内だけでなく世界市場をにらんた規格づくりの戦略が重要である。国際標準の獲得競争に出遅れてはならない。

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